TP-3  『 主体性のある運転 』

車やバイクを、どういう意識で運転するのが大切か、という話です。

一言で言えば「主体性のある運転をする」ということが大事だと
私は思っています。

運転する上で、どういう事に気を付けるかを書いた本をたまに見かけますが
「こういう交差点は、ここに注意する」とか
「高速道路では○○する」とか、そういった個別のシチュエーションでの
ノウハウがたくさん書かれています。

それら一つ一つは大切な事で、知らないのと知っているのでは
大きな差があるわけですが、万能ではない。
それらを100万種類知っていれば済むという問題でもない。
ということです。

公道では同じルートでも、同じ状態で走る事は二度とないのです。
つまり、その時その時で、その時に合った判断が必要になってくる。
この道だからこう、というものは基本的に存在しないわけです。

もちろん、渋滞しやすい場所などでは、どこでどう車線変更していけば
早いかとか、そういった規則性はありますが・・・
それも、だいたいはそうだけど、必ずではない。
そういう規則性を「ここはそういう場所だ」と決めつけてしまう
意識は危険であると言えます。

ノウハウ本のアドバイスが持つ危険性は、そういう所にあります。
事故おこして、あの本にこう書いてあったら気をつけたのに・・・
といっても、本は責任取ってくれません。

以上の様なことを踏まえ、じゃあどうするのか。

判断の責任は自分にある、という意識で、自分はこうしたい
周りはこうなっている、だからこう行く、という事を常に考えて
運転することが、その時その時の状況に対する答えになる
ということではないでしょうか。
前述のノウハウやアドバイス集というのは、それ自体が本質なのではなくて
こういう意識での判断を助ける材料、という位置づけになるわけです。

例えば横断歩道を渡る時に、横の人が渡り始めたのでつられて
渡り始めたらまだ赤だった、とかいうのは最悪のパターンと言えます。
主体性がぜんぜん無い。

また、大型車が前にいて視界を遮っている時にイライラするのは
ある意味正しい。
大型車の真後ろにいるときは、自分の判断による運転がしにくい状態に
なっているからです。
その大型車のドライバーがブレーキを踏んだから、こっちも踏む。
こちらの運転の判断材料が、前の車のストップランプしかない様な
状態なのです。そのドライバーが居眠りして、渋滞に突っ込めば
速度にもよるけれど、多分こちらも突っ込む事になる。
その大型車に自分の命を預けている様なものです。
なのに「楽でいいや」と思ったら、その意識は最悪だと言えます。


運転する上での意識の持ち方を書いた本で
「中島悟の交通危機管理術」という本があります。
中島悟(←元F1レーサーの中島)は、その本の中で「見ること」が全ての基本。
という話を書いています。

事故は、見ていなかった、見えていなかった時に起きることが多い。
見えていれば、仮に避けられなかったとしても、事故の度合いを
軽く出来る「可能性が高い」けど、見えていなかったり、見ていなかったら
何も出来ない、という話です。
だから、前を注視してないで落ち着き無くキョロキョロするくらで丁度良い
と説いています。

見るという動作で、じっくり見なければならないのは文字とかであって
車を動かす上では、そんなに目の分解能の良い部分を駆使する必要は
無くて、反対に、ある物をじっくり見てしまうと他への意識が
おろそかになって危険。
だから行き先表示の青看板なんかを読もうとしている時なんかは
非常に危険な状態であると言えますね。

私も相当落ち着きの無い視線で運転していまして、同乗者に
キョロキョロしてないで前しっかり見ろよ、と言われた事も
ありましたが、この本を読んで「間違ってはいなかったんだな」
と思いました。
小学校の頃は通知表に「授業中落ち着きが無くキョロキョロしている」
などと書かれていた私ですが、運転する上ではそういう性格の方が
かえって良いということですね。

私はこの「とにかく見ろ」というアドバイスは、今まで見てきた
ノウハウの中でほぼ完璧といえるものだと思っています。

それは、私の書いている様に「しっかり考えて」運転出来る人ばかりが
免許を持っているわけではないからです。
運転をする上で大切な事を何か一つと言われて
「主体性のある運転を」と言っても、「はぁ?」という人のが多いでしょうけど
「見ろ」ということなら、分かりやすいし大抵の人が実践出来る内容でしょう。

誤解を与えるとまずいので、捕捉しますが
中島悟も、その本を通して「どういう意識で運転にあたるべきか考えて
欲しい」わけで、前述のノウハウを羅列した本とは、全く性質が異なります。
運転をする人には、是非読んでもらいたい本の一つです。

それではみなさん、お気をつけて。

By じんじんさん   [ 2003/10/03 ]  jj@5252.org